防災の日はなぜ9月1日?関東大震災と伊勢湾台風の意味

「防災の日って、どうして9月1日なの?」——子どもに聞かれて、うまく答えられなかった方は少なくありません。
9月1日が選ばれた理由は、実はひとつではなく2つあります。そして、この日を「防災の日」として国が決めたきっかけには、別のできごとが関わっています。この記事では由来をやさしく整理したうえで、意味が分かった日にこそ効く家の備えの見直し方までお伝えします。
こんな人におすすめ
- 防災の日がなぜ9月1日なのか、由来をひと言で説明できるようになりたい方
- 子どもや家族に聞かれて、答えに詰まったことがある方
- 関東大震災と台風、どちらが理由なのかがはっきりしない方
- 防災の日・防災週間・防災とボランティアの日の違いを知りたい方
- 由来を知ったあと、実際に何をすればいいのか決めたい方
目次
結論:9月1日は「関東大震災の日」であり「二百十日」でもあるから
先に答えをお伝えします。防災の日が9月1日である理由は、次の3行にまとまります。
防災の日が9月1日である理由
- 1923年(大正12年)9月1日に関東大震災が起きた日だから
- 同じころが「二百十日(にひゃくとおか)」という、台風に警戒する昔からの節目だから
- 制定のきっかけはその前年に起きた伊勢湾台風。地震と台風、両方を忘れないための日として決まった
つまり「地震が理由なのか、台風が理由なのか」はどちらか片方だけの話ではありません。9月1日は、地震の記憶と台風への警戒がちょうど重なる日なのです。そして防災の日そのものは、1960年(昭和35年)に政府の閣議了解で定められました。
子どもに聞かれたときは、こう答えれば十分です。「大きな地震があった日で、台風が来やすい時期でもあるから、みんなで備えを見直す日にしたんだよ」。
防災の日の由来を3分で|3つのできごとで分かる
もう少し詳しく知りたい方のために、9月1日に関わる3つのできごとを順番に見ていきます。
① 関東大震災(1923年9月1日)
1923年(大正12年)9月1日の昼前、相模湾を震源とする大きな地震が起こりました。これが関東大震災です。近代の日本が経験したなかでも最大級の災害として知られています。
この地震で被害を大きくしたのは、揺れそのものだけではありませんでした。ちょうど昼食の支度で火を使っている時間帯にあたり、各所で起きた火災が広がったことが被害を押し広げたと言われています。「地震のあとに火が出る」という教訓は、ここから来ています。
② 二百十日(にひゃくとおか)
もうひとつが、暦の話です。二百十日とは立春から数えて210日目にあたる日で、毎年ちょうど9月1日ごろになります(年によって1日前後します)。
この時期は稲の花が咲くころで、しかも台風が来やすい。農家にとっては「荒れやすい日」として昔から警戒されてきた節目でした。カレンダーに載っている「雑節」のひとつです。
地震の記憶と、台風への警戒。この2つが同じ日に重なっているというのが、9月1日が選ばれた大きな理由です。
③ 伊勢湾台風(1959年)と、翌年の制定
では、なぜ1923年の地震から30年以上たった1960年に「防災の日」ができたのか。直接のきっかけになったのが、1959年(昭和34年)9月の伊勢湾台風です。
この台風は東海地方を中心に非常に大きな被害を出しました。これを受けて翌1960年、政府の閣議了解によって9月1日が「防災の日」と定められます。「災害への心構えを、年に一度は全員で確かめよう」という趣旨の日です。
まとめると、9月1日は「地震(関東大震災)」「台風(二百十日)」という2つの理由で選ばれ、「台風(伊勢湾台風)」がきっかけで制定された日、ということになります。
防災の日・防災週間・防災とボランティアの日の違い【比較表】
防災に関わる日は、実はいくつかあります。混同しやすいので表にまとめました。
| 名称 | いつ | 由来 | この日にやること |
|---|---|---|---|
| 防災の日 | 9月1日 | 関東大震災(1923年)+二百十日。伊勢湾台風を受け1960年制定 | 家じゅうの備えを一度に見直す |
| 防災週間 | 8月30日〜9月5日 | 防災の日を中心にした1週間 | 訓練・イベントに参加する。買い足しはこの期間に |
| 防災とボランティアの日 | 1月17日 | 阪神・淡路大震災(1995年) | 備蓄の期限と電池の2回目の点検 |
| 津波防災の日 | 11月5日 | 安政南海地震(1854年)の「稲むらの火」の逸話 | 海の近くの方は避難経路の確認 |
覚え方はかんたんです。9月1日と1月17日、この2日をカレンダーの繰り返し予定に入れておく。年2回の点検日ができ、「そういえば見ていない」がなくなります。
なお防災の日は国民の祝日ではありません。学校や会社は通常どおりで、代わりに避難訓練が行われることが多い日です。
あなたの家はどのタイプ?
由来が分かったところで、次にやることは家の状況で変わります。近いものを選んでみてください。
タイプA:由来は知りたかったが、備えはほぼ手つかず
- 防災グッズと呼べるものが家にない、または懐中電灯だけというタイプです
- 知識だけ増えても、地震や台風が来た日には何も出てきません
- → 今日は調べもので終わらせず、持ち出し袋を1つ作る。水・食品・携帯トイレ・ライト・手袋の5点から
タイプB:そろえたが、去年の防災の日から開けていない
- 備えた記憶はあるものの、最後に中身を見た日を思い出せないタイプです
- 買い足しより先に、期限切れと電池の液漏れが起きている可能性が高い状態です
- → 買い物には行かず、全部出して期限と電池を見るところまで
タイプC:備えてはいるが、量が合っているか不安
- ひととおりそろっているが、家族の人数に対して足りているか分からないタイプです
- 感覚で足していくと、水だけ多くてトイレがない、という偏りが起きます
- → 人数と日数から必要量を数字で出して、不足分だけ埋める
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必要な量の考え方をもう少し詳しく知りたい方は、こちらもあわせてどうぞ。
【関連記事】防災備蓄は何日分?家族の人数で量が一瞬でわかる無料ツール
意味が分かった日にやる3つのこと
防災の日に丸一日かける必要はありません。由来を読んだ流れで、この3つだけやってしまってください。30分あれば終わります。
① 逃げる先と道を、地図で確かめる
9月1日が「地震と台風が重なる日」である以上、確かめるべきものも2つあります。地震のときの避難場所と、大雨・台風のときの浸水しやすい場所です。この2つは同じとは限りません。
お住まいの自治体が配っているハザードマップを開いて、家から避難場所までの道を指でたどってください。「川沿いを通らない道はどれか」まで見ておくと、当日の判断が変わります。

紙の地図を壁に貼っておくと、停電でスマホが使えない日でも家族全員が同じ道を確認できます。
② 備えを全部出して、期限と電池を見る
次に、押入れや物置から防災用として買ったものを全部出します。ここで見るのは日付と電池の2点だけ。食品の期限、電池の液漏れ、モバイルバッテリーの残量です。
WARAIGAOの商品を監修した消防士の「たすく」も、自分の家で同じことをして驚いたと話しています。「自分の家で備蓄を見直したら、結構ほとんど足りてなかった。基本的な水とか非常食とかが足りない。簡易トイレなんかも準備してない人が多い」。由来を知っている人でも、出してみるまで穴には気づけません。読んで終わりにしないための一手間です。
点検の頻度やタイミングを決めておきたい方は、こちらもどうぞ。
【関連記事】備蓄品の消費期限チェック頻度|期限切れを防ぐ点検のやり方
③ 置き場所を決めて、家族に口で伝える
最後がいちばん大事です。持ち出し袋は玄関か寝室のドア近くへ。備蓄は1か所にまとめず分散させます。そして置き場所を家族に口で伝えてください。用意した本人が家にいないときに使えなければ、備えていないのと同じです。

玄関に置くと決めたら、靴とライトもいっしょに。暗い中でも手が届く場所かどうかが基準です。
忘れられがちな「手を守るもの」
防災の話では、水・食料・明かりは必ず出てきます。ところが最後まで思い出されないのが手を守るものです。
「消防士として現場に駆けつけた震災直後、倒壊した家屋から自力脱出を試みた方の多くが手を深く傷つけていました」——監修した消防士の言葉です。助けが来るまでの時間、そこにいる人は自分の手で動くしかありません。素手だと、逃げる前に手を使えなくしてしまいます。
- 切り傷への強さが分かるもの(EN388という欧州規格の表示が一つの目安)
- 持ち出し袋に入れてもかさばらない厚みのもの
- 家族の人数ぶんあること。1双を取り合うことになりません
何をどれだけ入れるかを一覧で確認したい方は、こちらにまとめています。
【関連記事】防災の日に準備するグッズ一覧|消防士が教える本当に必要なもの

正直なところ|由来を知るだけでは備えは増えない
この記事についても、先にお伝えしておきたい弱点があります。
由来を知っても、家の備えは1ミリも増えない
いちばん正直な弱点です。「なぜ9月1日か」が分かってすっきりすると、それで満足して終わりがちです。そこで本文では読んだ流れでできる3つの行動まで書きました。今日ひとつだけやるなら、押入れを開けて中身を床に出すところまで。それだけで、足りないものは自分から見えてきます。
年に一度の日なので、それ以外の11か月が空白になりやすい
防災の日だけを頼りにすると、点検の間隔が1年空きます。電池の液漏れや食品の期限は、その間に進みます。そこで1月17日の「防災とボランティアの日」とセットにして、年2回にしてください。半年ごとなら、期限切れを取りこぼしにくくなります。
歴史の細かい数字までは、この記事では扱っていない
関東大震災や伊勢湾台風の被害の規模については、資料によって数え方が異なります。この記事では日付と経緯にとどめ、被害の数値は載せていません。正確な数字が必要な場合は、内閣府や気象庁など公的機関の資料をご確認ください。
手袋は「切り傷対策」の道具で、万能ではない
WARAIGAOの防刃手袋はEN388という切り傷への強さの規格に対応していますが、対応しているのは切り傷までです。とがったものが刺さるけが、熱いもの、電気を扱う作業には対応していません。火や熱いものを扱う場面では耐熱グローブなど、用途を分けてお使いください。
台風や地震のあと、実際に何が手を傷つけるのかを知りたい方はこちらもどうぞ。
【関連記事】台風・地震の後片付けで手を切る前に。ガラス片・瓦礫から守る手袋の選び方
よくある質問(6問)
まとめ
この記事のまとめ
- 防災の日が9月1日なのは、関東大震災(1923年)の発生日であり、台風に警戒する「二百十日」でもあるから
- 制定は1960年(昭和35年)。直接のきっかけは前年の伊勢湾台風
- 地震か台風かの二択ではなく、両方が重なる日として選ばれている
- 防災の日は国民の祝日ではない。8月30日〜9月5日が防災週間
- 1月17日の「防災とボランティアの日」とセットにすると、点検が年2回になる
- 由来を知った日にやるのは、避難経路の確認・期限と電池の点検・置き場所の共有の3つ
- 水と食料と明かりの陰で、手を守るものがいちばん忘れられやすい
今日できることはひとつだけです。押入れを開けて、防災用として買ったものを床に出してみる。由来を知った日にそこまでやれば、9月1日は「調べた日」ではなく「備えが一段上がった日」になります。


