防刃手袋が使えない場面5つ|チェーンソー・針・熱は防げません

「防刃手袋なら、たいていの危ない作業に使えるだろう」——そう思って買うと、いちばん危ない使い方をしてしまいます。
WARAIGAOの防刃手袋はEN388認定・耐切創レベル5の手袋です。この認定が保証しているのは刃物による切り傷への強さだけで、刺さるもの・噛みつき・熱・電動工具は担当していません。
この記事では、防刃手袋が使えない場面を5つ、売る側から正直にまとめます。担当範囲の外を先に知っておくほうが、結果として手を守れます。
こんな人におすすめ
- 防刃手袋を買う前に、どこまで守れるのか線引きを知っておきたい方
- チェーンソーや草刈り機を使う予定があり、手袋を探している方
- とげのある植物や針を扱うので、手を守るものを探している方
- すでに防刃手袋を持っていて、使ってよい作業を確認したい方
- 手袋を作業ごとに使い分ける基準がほしい方
目次
結論:防刃手袋が守るのは「刃物の切り傷」だけ
先に結論をお伝えします。WARAIGAOの防刃手袋はEN388認定・耐切創レベル5の手袋です。ここでいう「耐切創」とは、刃物が生地の上を滑ったときにスパッと切れにくいという意味の性能で、それ以上でもそれ以下でもありません。
つまり守れるのは、カッター・包丁・ガラスの割れ口・鎌といった「刃が横に走って切れる」タイプのケガです。刺さる、噛まれる、削られる、焼ける——この4つは、防刃手袋の担当ではありません。
防刃手袋が担当していないケガ
- 刺さる(針・とげ・釘などの穿刺)
- 噛まれる(動物の牙)
- 削られる(チェーンソー・グラインダーなど回転する刃)
- 焼ける(熱いもの・火のそば)
「防刃」という言葉の響きが強いせいで、手を守るものすべてに効くと思われがちです。実際にはEN388という国際規格の中で、切り傷への強さだけを測って認定されています。ここを最初に押さえておくと、買ってから「思っていたのと違った」となる場面がなくなります。
【関連記事】防刃手袋の「4544」の読み方は?EN388規格を消防士が図解【購入前3秒チェック】

防刃手袋が使えない場面5つ
ここからが本題です。防刃手袋を使ってはいけない場面を5つ、順番に見ていきます。どれも「うちの商品はここまでです」という線引きの話で、他社の防刃手袋でも事情は変わりません。
① チェーンソー
チェーンソーの刃は、回転しながら木を削り取る構造です。刃が一方向に高速で回り続けるため、繊維の強さで受け止めるという発想が通用しません。生地に食い込んだ刃が、そのまま生地ごと巻き込んでいきます。
WARAIGAOの開発者も、この点だけははっきり言い切っています。「チェーンソーとかグラインダーとかは防刃手袋で対応不可能」。これは商品を売る立場からすると言いにくい一言ですが、ここをあいまいにしたまま使われるほうが怖い、というのが現場を見てきた人間の判断です。
チェーンソーを使う作業には、チェーンソー防護用として作られた専用の手袋があります。刃を止めるための繊維が中に仕込まれていて、設計思想そのものが違います。木を切る予定がある方は、防刃手袋ではなくそちらを探してください。
② グラインダー・電動工具
グラインダーやサンダーのように、砥石や刃が高速で回る工具も同じです。回転体は生地を「切る」のではなく「削り取る」ため、耐切創の性能では受け止められません。巻き込まれる危険もあり、手袋の有無より作業手順のほうが重要になる領域です。
電動工具まわりでは、手袋そのものが巻き込みの原因になることもあります。工具の取扱説明書に手袋の指定がある場合は、必ずそちらに従ってください。
③ 針・とげ・釘などの「刺さる」もの
EN388の耐切創レベルは、刃が生地の上を滑るときの強さを測ったものです。細い先端がまっすぐ押し込まれる動き(穿刺)は、この試験の対象に入っていません。編み地である以上、繊維と繊維のあいだには必ず隙間があり、針のように細いものはそこを通ります。
裁縫の針、バラのとげ、木材から飛び出した釘、竹串。こうしたものを扱う作業では、防刃手袋は選択肢に入れないでください。「切れないなら刺さらないだろう」という思い込みが、いちばん危ないパターンです。
④ 動物の噛みつき
犬や猫に噛まれる事故を防ぐ用途にも使えません。噛みつきは、鋭い牙が刺さる力と、あごで押しつぶす力が同時にかかります。切り傷への強さだけでは、どちらにも届きません。
動物を扱う仕事や保護活動で手を守りたい場合は、その用途のために作られた専用の防護具を選んでください。
⑤ 熱いもの・火のそば
防刃手袋の素材は高強度ポリエチレンです。熱に強い素材ではないため、熱い鍋・炭・焚き火のそばでは使えません。ここは性能の限界というより、素材の性質そのものの話です。
WARAIGAOの開発者は、防刃手袋と耐熱グローブの関係についてこう話しています。「耐熱手袋は庭仕事には向いてない。関係ない」。逆向きに読めば、防刃手袋を火まわりに持ち込むのも同じくらい筋が違う、ということです。この2つは似た形をしていますが、役割はきれいに分かれています。
火や熱を扱う場面では、牛革でできた耐熱グローブを使ってください。
【関連記事】耐熱グローブの素材|10工場比較で見えた革の強さ
あなたがやろうとしている作業はどのタイプ?
手袋選びで迷ったら、ケガの「かたち」で考えると早いです。これからやる作業で起こりうるケガを、次の3つに当てはめてみてください。
タイプA:滑って切れる
- 草刈り・剪定・ガーデニング
- 段ボールの解体、カッターを使う作業
- 割れたガラスや食器の片付け
- 包丁・スライサーを使う調理
タイプAは防刃手袋の担当範囲です。刃や鋭い縁が横に走って皮膚を切る、という起こり方をします。
タイプB:まっすぐ刺さる
- 針・画びょう・釘を扱う
- とげのある植物を扱う
- 釣り針を外す
- 動物に噛まれる可能性がある
タイプBに当てはまる作業では、防刃手袋は候補から外してください。穿刺に対応した専用の防護具を探すのが正解です。
タイプC:焼ける・削られる
- BBQ・焚き火・薪ストーブ
- 熱い鍋やダッチオーブンを持つ
- チェーンソー・グラインダーを使う
タイプCは、火まわりなら耐熱グローブ、電動工具ならその工具の防護用手袋、と分けて選んでください。1双で全部をまかなえる手袋は存在しません。
【関連記事】工場・製造業で働く人へ|EN388 Level 5防刃手袋が怪我を防ぐ理由
逆に、防刃手袋がしっかり働く場面
ここまで「使えない」ばかり書いてきたので、担当範囲のほうも整理しておきます。刃や鋭い縁で手のひらや指を切る作業は、防刃手袋がいちばん力を発揮する場面です。

- 草刈り・草むしり:鎌や草の切り口で手のひらを擦る場面が多い作業です
- 剪定:はさみを握り込むときに指を挟む・滑らせる事故が起きます
- 段ボールの解体:カッターの刃が反対の手に向かうことがあります
- ガラスや割れた食器の片付け:破片の縁は刃物と同じ切れ方をします
- 調理:包丁やスライサーの「最後のひと削り」で指先が当たります
いずれも共通しているのは、刃が横に走るという点です。防刃手袋を選ぶかどうかは、この一点で判断すると迷いません。
【関連記事】防刃手袋は本当に切れないのか?消防士がカッターで本気検証した結果
手袋4種類の対応範囲【比較表】
手元にある手袋がどこまで担当するのか、4種類を並べて比べます。同じ「作業用手袋」でも、守る相手はまったく別物です。
| 手袋の種類 | 刃物の切り傷 | 針・とげが刺さる | 熱いもの | チェーンソー・グラインダー |
|---|---|---|---|---|
| ふつうの軍手 | △ 薄手のものは切れます | × | × | × |
| 防刃手袋(EN388認定 耐切創レベル5) | ◎ ここが担当範囲 | × | × | × |
| 耐熱グローブ(牛革) | △ 革の厚みぶん。耐切創の認定はありません | × | ◎ ここが担当範囲 | × |
| チェーンソー防護用手袋(専用品) | ○ | × | × | ◎ ここが担当範囲 |
横に並べると分かるとおり、「刺さる」の列はどれも×です。針やとげが刺さる作業で手を守りたい場合は、作業用手袋という枠組みの外で探す必要があります。
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正直にお伝えする注意点(デメリット)
使えない場面のほかにも、買う前に知っておいてほしい点があります。
① 強く押し当てる切り方には対応していません
EN388の耐切創は、刃が生地の上を滑るときの強さです。体重をかけて押し切るような使い方や、刃を突き立てる動きは想定の外にあります。手袋をしているからと力を入れる、という使い方は避けてください。
② 手袋の外に出ている部分は守れません
手首から先だけを覆う形なので、腕や手首は無防備のままです。刈った草の切り口や枝の先が当たる場所は、袖のある服で覆ってください。
③ 洗濯を繰り返すと生地が痩せます
編み地なので、使い込むほど繊維が動いて薄くなる場所が出てきます。指先が透けてきたら交換のサインです。
④ 手にサイズが合っていないと性能が落ちます
大きすぎる手袋は生地がたるみ、刃に対して逃げ場ができます。指先が余る場合は、ひとつ下のサイズを選んでください。
よくある質問
まとめ
この記事のまとめ
- 防刃手袋(EN388認定 耐切創レベル5)が守るのは、刃物による切り傷です
- 使えない場面は5つ。チェーンソー、グラインダーなどの電動工具、針やとげの穿刺、動物の噛みつき、熱いもの
- ケガのかたちを「切れる・刺さる・焼ける」で分けると、選ぶ手袋が決まります
- 1双ですべてをまかなえる手袋はありません。作業ごとに使い分けてください
正直に線を引いておくことが、結果として手を守ります。担当範囲の中で使っていただければ、草刈りも剪定も段ボールの片付けも、素手より安心して進められます。


