防刃手袋は本当に切れない?切れる条件と切れない条件

「防刃手袋って書いてあるけど、本当に切れないの?」——買う前にいちばん気になるところだと思います。SNSには「全然切れなかった」という動画もあれば、「切れた」という書き込みもあり、どちらを信じればいいのか迷いますよね。
先に答えを書くと、防刃手袋は「切れにくい」手袋で、「絶対に切れない」手袋ではありません。刃が手に当たって滑るような場面には強く、刃を強く押し当てて引く・回転する刃・先のとがったものが刺さる、といった場面では守りきれないことがあります。
この記事では、規格の試験がどういうものか、製造工場で行った耐切創テストの映像、お客様のレビュー動画の声をもとに、「切れにくい場面」と「切れることがある場面」を分けて整理します。
早見(結論)
- 切れにくい:包丁・カッター・スライサー・ガラスのふちなど、刃が横に滑って手に当たる場面
- 切れることがある:刃を強く押し当てたまま引く、同じ場所に何度も刃が当たる、生地が傷んでいる
- 守れない:チェーンソー・グラインダーなどの回転する刃
- 別の話:釘や針のように先端が一点に刺さる力は、切り傷とは別の評価
- やらない方がよいこと:手袋をはめた自分の手で「試し切り」をすること
目次
「切れにくい」の根拠|EN388の切創試験とは
防刃手袋の「切れにくさ」は、感覚ではなく規格の試験で表されています。よく使われるのが、ヨーロッパの作業用手袋の安全規格「EN388」です。
EN388の耐切創性(4桁の数字の2つ目)は、回転する刃を一定の圧力で手袋の表面に当て、何回転で素材が切れるかを測る試験で決まります。レベルは1〜5で、数字が大きいほど刃に強く、5がこの試験での最高水準です。WARAIGAOの防刃手袋は、この耐切創性がレベル5です。
また、2016年の改定で、刃を押し当てて何ニュートンの力で切れるかを測る試験が加わり、その結果はA〜Fのアルファベットで表示されます。数字の1〜5とアルファベットのA〜Fは試験のやり方が違うので、「レベル5=F」のように置き換えることはできません。
ここで押さえておきたいのは、どちらの試験も決まった条件で手袋どうしを比べるための物差しだということです。レベル5だからといって、どんな刃物を、どんな力で当てても切れないと保証するものではありません。4桁の数字やA〜Fの細かい読み方は防刃手袋のレベルの違い|EN388の数字とA〜Fの見方で、「防刃」と「耐切創」という言葉の違いは防刃・耐切創手袋の読み方で説明しています。
工場の耐切創テスト映像とお客様のレビュー動画
製造工場で行った耐切創テストの映像
WARAIGAOの防刃手袋を作っている工場で、耐切創性能のテストを撮影した映像があります(約28秒)。刃を当てたときに生地がどうなるかを、目で見て確かめられます。
🎬 工場での耐切創テスト映像(約28秒)
※製造工場で実施した耐切創性能のテスト映像です。
お客様のレビュー動画「全然切れねえ」
お客様から届いたレビュー動画の中に、手袋をパンパンに張った状態でカッターを当てて「全然切れねえ」と話しているものがあります。生地が張っていると刃が食い込みやすそうに見えますが、その状態でも刃が通らなかった、という声です(出典:お客様から届いたレビュー動画)。
ただし、これはその方が使ったときの感想です。刃の状態や力の入れ方が変われば、結果も変わります。「切れにくい」ことの目安として受け取り、「何をしても切れない」とは考えないでください。他社の手袋と比べたときの違いは防刃手袋の比較|安い手袋と高い手袋は何が違う?種類と価格帯にまとめています。
防刃手袋でも切れることがある4つの条件
「切れた」という声が出るのは、たいてい次のどれかに当てはまる場面です。防刃手袋を過信してケガをしないために、先に知っておいてください。
刃を強く押し当てたまま引く
刃が手に当たって滑る程度なら繊維が耐えますが、刃を手に向けて体重をかけるように押し当て、そのまま引くと、繊維の耐えられる力を超えることがあります。包丁やカッターの刃を、手袋をはめた手の方へ向けて動かさないのが基本です。
同じ場所に何度も刃が当たる・生地が傷んでいる
同じ場所に繰り返し刃が当たると、繊維が少しずつ切れて弱くなります。長く使って穴やほつれが出た手袋も同じです。洗ったあとに光にかざして傷みを確かめ、傷んでいたら替えてください。洗い方は防刃・耐切創手袋の洗い方|洗濯機はNG、手洗いは3分で説明しています。
チェーンソー・グラインダーなどの回転する刃
高速で回る刃は、切り傷を防ぐ手袋の想定をこえています。手袋ごと巻き込まれる危険もあるので、こうした道具には専用の保護具を使ってください。理由は防刃手袋はチェーンソーに使える?→使えませんで詳しく書いています。
釘や針のように先端が一点に刺さる力
耐切創性は「刃が横に滑って切る」力に対する評価です。釘や針、串のように先端が一点に刺さる力は、切り傷とは別の評価(EN388では4桁目の数字)になります。耐切創レベルが高くても、刺さる力に強いとは限りません。
熱いものなど、ほかにも防刃手袋が向かない場面があります。まとめて知りたい方は防刃手袋が使えない場面5つ|チェーンソー・針・熱は防げませんをご覧ください。
早見表|切れにくい場面と切れることがある場面
「自分の使い方なら大丈夫か」を判断しやすいように、よくある場面ごとに、起きやすいことと手袋の守備範囲を並べました。
| 場面 | 起きやすいこと | 防刃手袋の守備範囲 |
|---|---|---|
| 段ボールをカッターで開ける | 刃が滑って、箱を押さえる手に当たる | ◯ 刃が滑って当たる程度なら切れにくい |
| スライサーで野菜を薄切り | 最後のひと削りで指先が刃をかすめる | ◯ かすめる程度なら切れにくい |
| 割れたガラス・食器の片付け | ふちを持ったときに手を切る | ◯ ふちで切る傷には強い/△ 細かい破片が刺さるのは別 |
| 包丁で魚や肉をさばく | 刃が滑って押さえる手に当たる | ◯ 滑って当たる程度なら切れにくい/✕ 刃を手に向けて押し込む使い方 |
| 同じ手袋を長く使う | 同じ場所が何度もこすれて繊維が傷む | △ 傷んだ部分は弱くなる。穴やほつれが出たら交換 |
| 釘・針・串・ホチキスの針 | 先端が一点に刺さる | ✕ 切り傷とは別の評価。耐切創レベルでは判断できない |
| チェーンソー・グラインダー | 回転する刃に手袋ごと巻き込まれる | ✕ 守れない。専用の保護具を使う |
◯の場面でも、手袋をしているから雑に扱ってよい、ということにはなりません。スライサーの使い方はスライサーで手を切らない方法と手袋、ガラスの片付け方はガラスの破片を片付ける手袋|素手が一番危ない理由で、手順と合わせて説明しています。
家で「試し切り」をしない方がよい理由
「本当に切れないか、自分で確かめたい」と思うのは自然なことです。ただ、手袋をはめた自分の手に刃を当てて試すのはおすすめしません。理由は3つあります。
- 切れる条件をそのまま試すことになる:確かめようとして力を入れるほど「刃を強く押し当てて引く」という切れることがある条件に近づき、そのままケガにつながります。
- 結果が比べものにならない:刃の切れ味・角度・力の強さを毎回同じにできないので、切れても切れなくても、規格の試験の結果とは比べられません。
- 試した部分の繊維が傷む:刃を何度も当てた場所は弱くなり、いざというときに本来の性能が出にくくなります。
性能を確かめたいときは、自分の手で試すのではなく、商品ページの規格表示や、上で紹介した工場のテスト映像のような、条件をそろえて撮られたものを見るのが安全です。

イメージ画像です。このように手袋をはめた自分の手に刃を当てて試すことは、おすすめしません。
本当に切れにくいか見分ける商品ページの確かめ方
「防刃」と書かれた手袋の中には、どのくらい切れにくいのか根拠が書かれていないものもあります。買う前に、商品ページで次の点を確かめてください。
商品ページで確かめること
- 「EN388」の表記と、4桁の数字(うしろにアルファベットが付くこともある)が書いてあるか
- 4桁の2つ目(耐切創性・1〜5)や、うしろのアルファベット(A〜F)がいくつか。比べるときは数字は数字、アルファベットはアルファベットどうしで
- 「防刃」「切れない」とだけ書いて、規格の数字が見当たらない商品は、性能の根拠が分からない
- 「絶対に切れない」「何でも防げる」のような書き方をしていないか。規格の試験はそこまで保証していない
- チェーンソーなど回転する刃に使えるとうたっていないか
- サイズ展開があるか。大きすぎて指先が余ると、作業しにくく引っかかりやすい
- お手入れ方法(洗濯機が使えるか、手洗いか)が書いてあるか
サイズの測り方は防刃手袋のサイズの選び方|測り方とXS〜Lの目安で説明しています。

イメージ画像です。規格の表示は、商品ページや手袋のタグで確かめます。
よくある質問
まとめ
この記事のまとめ
- 防刃手袋は「切れにくい」手袋で、「絶対に切れない」手袋ではない
- 切れにくさの目安はEN388の耐切創性。WARAIGAOの防刃手袋はレベル5(この試験での最高水準)
- 工場の耐切創テスト映像や、お客様の「全然切れねえ」という声は、刃が当たって滑る場面での強さを示している
- 刃を強く押し当てて引く・同じ場所に何度も・回転する刃では切れることがある
- 釘や針のように先端が一点に刺さる力は、切り傷とは別の評価
- 自分の手で試し切りはしない。性能は規格の表示とテスト映像で確かめる
「防刃」という言葉だけで判断せず、どんな場面に強く、どんな場面では守れないのかを知ったうえで選んでください。洗っている間や傷んだときの替えを用意しておくかどうかは、防刃手袋は単品と2個セットどっち?で考え方をまとめています。








